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【KADOLABO #019 Farmhouse Kumquat Mead/伊勢角屋麦酒】
Melomel/8.5%/750m
緒言
KADOLABOでは、ビール以外の酒類とのクロスオーバーをテーマの1つにしてきた。
酒類ごとに異なる醸造哲学があり、クロスオーバーを通じてビール醸造とは異なる視点を学ぶことができる。
より深く発酵現象を理解するために、多様な醸造形態を体験することが使命と考えている。
Marginalシリーズ(001、002、010、015)は、ブドウを使ったワインとのハイブリッドビールであり、013 Apple Harvest Tripはリンゴを使ったシードルであった。
そして今回の019 Farmhouse Kumquat Meadは、蜂蜜を使ったミードに挑戦したものである。
ISEKADOブランドでは、ビールとミードのハイブリッドであるブラゴットを醸造した経験があるが、麦芽を含まない純粋なミードの醸造は初めてである。
過去に醸造したブラゴットのWet Moon Hazy IPBと六角ヘイジーIPBは、ビール寄りのブラゴットであった。ヘイジーIPAベースに大量の蜂蜜を使用し、ホップフレーバーをよりリッチにすることを狙った。
今回は初めての純粋なミードの醸造となった。
ミードらしさを表現するため、セオリーに忠実に醸造した。
保有している野生酵母のKADOYA1を使用し、金柑とホップで味付けすることで、麦芽不使用ながらもビールの面影が見え隠れする液体に仕上げた。
ミードとビールでは、発酵に関して3つの違いがある。1つは窒素、2つ目は微生物管理、3つ目は糖の組成である。
酵母はアルコール発酵に必要な栄養素として窒素を必要とする。
麦汁には酵母が必要とする窒素が十分に含まれているが、蜂蜜には不足している。窒素が不足すると、発酵が遅延・停止するリスクがあるだけでなく、硫黄系のオフフレーバーが発生することもある。
窒素が不足した場合、酵母が自ら必要な窒素源を合成する過程で硫化化合物が生成されることがある。
こうしたトラブルを避けるために、ミードの醸造では酵母に窒素を補給する必要がある。
今回は、少量の添加物と金柑を使って窒素を供給した。
ミードの醸造ではビールの醸造ほど厳しい微生物管理が求められない。
ミードはビールに比べてアルコール度数が高くpHが低いため、微生物が繁殖しづらい環境である。
そのため、微生物汚染がビールに比べて発生しにくいと考えられる。
今回の醸造を指導してもらったAntelopeでは、蜂蜜をお湯で溶かして熱殺菌してから発酵させているが、我々はそのまま水で溶かし、蜂蜜由来の野生酵母や微生物も活かして醸造した。
微生物管理レベルを下げたものの、コンタミネーションが生じることなく、ミードの微生物安定性を体験することができた。
蜂蜜の糖分はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)の単糖で構成されている。
麦汁はマルトース(麦芽糖)やマルトトリオース、デキストリンなど、比較的長い糖の鎖を含んでいる。糖質の組成は酵母にとって重要な因子である。今回の発酵を担ったKADOYA1は、単糖の発酵が非常に速い一方で、二糖以上の発酵には時間を要するという特性がある。
蜂蜜の糖組成とKADOYA1はとても相性が良かった。
やや低めの発酵温度帯かつ低い初期菌体数でゆっくりと発酵させ、クローブ・バニラ様のフェノールキャラクターを引き出しつつ、わずかな残糖を残し、蜂蜜らしい甘みを感じられるようにした。
方法と結果の一部
蜂蜜をファーメンターに入れ、約5倍になるように水で希釈した。
イーストスラリーを添加し、20度で発酵させた。約3プラートの段階でホップと金柑を添加し、約1週間漬け込んだ。ホップと金柑を取り除き、3週間熟成させたのち、瓶詰した。
価格 : 4,900円(税込) |
ポイント : 49 |
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